東京高等裁判所 昭和60年(行ケ)128号 判決
一 請求の原因一(特許庁における手続の経緯)、二(本願発明の要旨)及び三(審決の理由の要点)の事実は、当事者間に争いがない。
二 そこで、原告主張の審決の取消事由の存否について判断する。
1 成立に争いのない甲第二ないし第四号証によれば、本願発明は、熱滅菌された中空糸型人工臓器及びその製造方法に関するものであつて(本願明細書第二頁第一二行、第一三行)、一般に人工臓器は製造段階では菌による汚染の恐れがあるために、滅菌して使用者に供されるが、従来実用化されている滅菌法、すなわちホルムアルデヒド水溶液を人工臓器内に充填して滅菌する方法や人工臓器内にエチレンオキサイドガスを通じて、実質上乾燥状態で滅菌する方法では、滅菌実施後滅菌剤を完全に除去することが困難であるという知見(同第二頁第一六行ないし第三頁第七行)に基づき、滅菌剤を含まない極めて安全性の高い熱滅菌人工臓器を提供することを目的とし(同第三頁第一一行ないし第一五行)、本願第一発明の要旨とする熱滅菌された中空糸型人工臓器及び本願第二発明の要旨とする熱滅菌された中空糸型人工臓器の製造方法を採択したものであることが認められる。
また、引用例には、血液室と透析液室の二つの室を持ち、該血液室に通ずる血液の導入通路及び排出通路と、該透析液室に通ずる透析液の流入通路及び流出通路から成る中空糸型血液透析装置において、該装置の血液室及び透析液室に人体に無害な蒸発性充填物質で密に満たし、該導入通路、排出通路、流入通路及び流出通路を、密封部材で密封した後、該装置全体を高温高圧蒸気雰囲気中で滅菌する、中空糸型血液透析装置の滅菌方法が記載され、特に、該透析装置は、酢酸セルロース等の中空糸を束状にし、上記滅菌温度に耐えるポリカーボネート、ポリプロピレン等の合成樹脂で作られた外筒及び固定キヤツプ、キヤツプ中に装備して成り、該装置は、一〇〇~一三〇度C程度の温度で、蒸気圧一~三kg/cm2の条件で熱滅菌していることが示されていることは、当事者間に争いがない。
2 原告は、本願第一発明は熱滅菌前に中空糸型人工臓器を洗浄するのに対し、引用例記載の発明はこの洗浄が行われないので、両者は熱滅菌の条件を異にする旨主張する。
前掲甲第二ないし第四号証によれば、本願第一発明の特許請求の範囲には、熱滅菌の条件として、熱滅菌前に中空糸型人工臓器を洗浄することは何ら記載されていないことが認められるが、人工臓器は人間の血液を処理するものであつて、無菌の状態で使用されることが不可欠であるから、組み立てた中空糸型人工臓器を熱滅菌するに当たつては、熱滅菌前にまず水、水溶液等を用いて洗浄し、人工臓器内の中空糸膜、合成樹脂製支持体等の表面に付着した微生物や有機物による汚れを除去して微生物が発育しにくい状態にすることは、当業者にとつて技術常識というべきである。
したがつて、本願第一発明は、熱滅菌前に中空糸型人工臓器を洗浄することを当然の要件とするものというべきであり、前掲甲第二ないし第四号証によれば、本願明細書の発明の詳細な説明中には、「公知の方法により中空糸型人工臓器を組立て、次いでグリセリン、イソプロピルミリステート等の中空糸膜添加剤およびウレタン樹脂支持体隔壁端面の異物等を水、水溶液またはエタノール等の有機溶剤にて洗浄し、水または水溶液にて必要なら置換して、水または水溶液の充填された状態となす。」(第七頁第一行ないし第七行)と記載されていることが認められるが、この記載は前記の技術常識を明記したものと解することができる。
一方成立に争いのない甲第六号証によれば、引用例にも、熱滅菌前に中空糸型人工臓器を洗浄することは記載されていないが、引用例記載の発明も、血液透析装置は無菌の状態で提供されることが不可欠であるが、従来の滅菌方法では、中空糸型血液透析装置の滅菌が完全でないとの知見(引用例第四六一頁右欄第九行ないし第四六二頁左上欄末行)に基づき、前記認定の構成から成る中空糸型血液透析装置の滅菌方法を採択したものと認められ、当業者は、引用例記載の発明について、前記技術常識に基づき、組み立てた中空糸型人工臓器内を、熱滅菌前に水、水溶液等を用いて洗浄し、中空糸膜、合成樹脂製外筒等に付着した微生物や有機物による汚れを除去する方法を用いているものと理解することが明らかであるから、同発明は熱滅菌前に中空糸型人工臓器を洗浄することを当然の要件とするものであつて、この点について本願第一発明との間に差異はないというべきである(前掲甲第六号証によれば、引用例には、「本発明の目的は、使用時における液体の流入あるいは空気抜きといつた面倒をなくし、また洗滌といつた手間もなく、(中略)中空糸型血液透析装置を滅菌する方法を提供することにある。」((第四六二頁右上欄第一行ないし第六行))と記載されていることが認められるが、ここに「洗滌といつた手間もなく」とは、透析開始時の洗浄を意味し、熱滅菌前の洗浄とは無関係であることは、右引用個所中の「使用時における」との記載及び第四六三頁第六行ないし第一一行の記載から明らかである。)。
原告は、本願明細書の第七頁第二行ないし第五行の記載及び第八頁第一二行ないし第一六行の記載を援用して、そこに記載されたような充填液で満たされた中空糸型人工臓器を公知の熱滅菌の方法、典型的には第九改正日本薬局方に基づいた高圧蒸気滅菌法及び間けつ滅菌法によつて熱滅菌することによつて実施例1~4記載のように本願第一発明の基準値を満たした中空糸型人工臓器を得ることができるのに対し、引用例記載の中空糸型人工臓器においては、熱滅菌前に洗浄を行うとしても、到達し得る値は本願明細書に記載された比較例7又は8に示した程度であつて、本願第一発明の基準値を満たすことができない旨主張する。
前掲甲第二ないし第四号証によれば、本願明細書の発明の詳細な説明中には、第八頁第一二行ないし第一七行に、「水または水溶液の充填された状態で、充填液の過マンガン酸カリウム消費量が〇・二ml/一〇ml以下、可視部吸光度(四二〇nm)が〇・〇〇二以下および紫外部吸光度(二二〇nm)が〇・〇二以下となす。」と記載され、また、実施例1ないし4として滅菌前の充填液が右の条件を満たす状態のもの(第一一頁第三行ないし第一四行、及び第一三頁表1)が記載されていることが認められる。しかしながら、本願第一発明は、熱滅菌前に中空糸型人工臓器を洗浄することを当然の要件とするが、特許請求の範囲には、熱滅菌の条件については何らの規定もなされていないこと、前述のとおりであるから、本願第一発明の熱滅菌前の水又は水溶液の充填された状態が本願明細書の前記第八頁第一二行ないし第一六行記載のもの、したがつて実施例1ないし4記載のものに限定されると解することはできない(前掲甲第三号証によれば、右記載は本願第二発明の特許請求の範囲に規定された熱滅菌前の充填液の状態と一致することが認められるが、本願第二発明の要旨が右記載のものであるからといつて、本願第一発明の特許請求の範囲にこれが規定されていない以上、その要旨を右記載のものに限定して解することはできない。)。
また、前掲甲第四号証によれば、本願明細書の発明の詳細な説明中には、比較例7及び8として、「実施例1~4と同様に中空糸型人工臓器を組立て、蒸溜水により中空糸含浸グリセリンを洗浄するに止めて、引続き充填を施した。比較例7、8は所定の熱滅菌を行い、滅菌後の充填液および前述した透析器洗浄後の循環抽出液について過マンガン酸カリウム消費量および吸光度を測定した。他の試験結果とともに結果を表3に示す。体内にとりこまれる可能性のある不純物量は、比較例1~3の約<省略>であるが、実施例1~4の三倍程度であつた。」(昭和五六年一一月三〇日付手続補正書第二頁第四行ないし第一三行)と記載されていることが認められるが、引用例記載の発明における熱滅菌前の洗浄が「蒸留水により中空糸含浸グリセリンを洗浄するに止め」るものであると解さなければならない合理的な理由に欠ける。しかも、引用例記載の熱滅菌された中空糸型血液透析装置は、当業界に周知である医療用機器基準に適合したものであることは当事者間に争いがないが、比較例7及び8を右基準に規定する方法で試験を行えば、右基準に適合したものとなることを認めるべき証拠はないから、いずれにしても比較例7及び8をもつて引用例記載の発明に相当するということはできない。
以上説示したとおり、本願第一発明における熱滅菌前の水又は水溶液の充填された状態は原告主張のものに限定されるものと解することはできず、また、引用例記載の発明における熱滅菌前に行う洗浄によつて到達し得る値は本願明細書に記載された比較例7及び8に示した程度のものと認めることもできないから、両者は熱滅菌の条件において異なるとする原告の前記主張は理由がなく、熱滅菌の条件について引用例も本願第一発明も格別に異なる条件付けは認められないとした審決の認定には誤りはないというべきである。
3 成立に争いのない甲第七号証によれば、周知例の「9.人工心肺用デイスポーザブルセツト基準」中の「Ⅲ 人工肺の品質および試験法」の「1.溶出物試験」の項には、「人工肺の血液が流通する回路〔注5〕に、煮沸後冷却した水を満たし、適当な器具を用いてガスを抜き、用管、酸素吸込管及び連結管の末端を閉じ、70±1°で三〇分間加温し、冷後、内容液をとり出して試験液として次の試験を行なうとき、これに適合する。(中略)(6)過マンガン酸カリウム還元性物質〔注12〕 試験液一〇mlを共せん三角フラスコにとり、〇・〇一N過マンガン酸カリウム液二〇mlおよび希硫酸一・〇mlを加え、三分間煮沸し、冷後、これにヨウ化カリウム〇・一gおよびデンプン試液五滴を加え、〇・〇一Nチオ硫酸ナトリウム液で滴定する。別に試験液の代わりに水一〇mlを用い、同様に操作するとき過マンガン酸カリウム液の消費量の差は一・〇ml以下である。」(第一八九頁第一六行ないし第一九一頁第一五行)と記載され、また、「透析型人工腎臓装置基準(案)」中の「Ⅴ 透析器の品質および試験」の「2.透析膜の溶出物試験」の項には、「本品の製造に使用する透析膜がセルロース系のものにあつては、その一・五gをとり、約二cm2(または約二cm)に切断し、新たに煮沸し冷却した水一五〇mlを加えて、70±1°で一時間加温し、冷後内容液をとり水を加えて、一五〇mlとし、これを試験液として、次の試験を行うとき、これに適合する。(中略)(6)紫外吸収スペクトル…試験液につき、水を対照として層長一〇mmで波長二二〇~三五〇mμにおける吸光度を測定するとき、最大吸収を示す波長の吸光度は〇・二〇以下である。」(第四〇八頁第八行ないし第二二行)と記載され、さらに「3.支持体および回路接続管の溶出物試験(「4.」は「3.」の誤記と認める。)」の項には、「本品の製造に使用する支持体および回路接続管各一五gまたは表裏の合計面積が約二〇〇cm2になるものをとり、約二cm2(または約二cm)に切断し、それぞれに新たに煮沸し冷却した水一五〇mlを加え、70±1°で一時間加温し、冷後内容液をとり、水を加えて一五〇mlとし、これを試験液として、次の試験を行なうときこれに適合する。(中略)(5)過マンガン酸カリウム還元性物質〔注35〕…人工心肺用デイスポーザブルセツト基準のⅢの1の(6)を準用する。(中略)(7)紫外吸収スペクトル・・本基準Ⅴの2(「3」は「2」の誤記と認める。)の(6)を準用する。」(同頁第二三行ないし第四〇九頁第八行)と記載されていることが認められる。
右認定事実によれば、前記医療用機器基準は、透析型人工腎臓装置を組み立てる前の右装置に使用する構成部材の一部である透析膜、並びに支持体及び回路接続管のそれぞれについて、前記認定の条件(温度・時間等)によつて種種の溶出又は抽出物を含む試験液を調製して試験を行つた結果、透析型人工腎臓装置の透析膜並びに支持体及び回路接続管の溶出物試験における波長二二〇~三五〇mμでの最大吸収を示す波長の吸光度は〇・二〇以下であり、支持体及び回路接続管の溶出物試験における過マンガン酸カリウム液の消費量の差が一・〇ml以下であるときに右基準に適合することを定めたものであることが明らかである。
一方、本願第一発明は、前述のとおり、セルロース中空糸膜、ウレタン樹脂支持体及び高分子材料の容器から構成され、該構成部材が四〇~一三〇度Cの範囲で実質的に耐熱性を有する中空糸型人工臓器において、該人工臓器を組立て後洗浄し(本願第一発明の特許請求の範囲には、熱滅菌前に洗浄することは記載されていないが、これを当然の要件とすることは、前記2において認定したとおりである。)、該人工臓器に水又は水溶液から成る充填液を充填し、熱滅菌した後の該充填液の過マンガン酸カリウム消費量が一〇ml/一〇ml以下、可視部吸光度(四二〇nm)が〇・〇四以下、及び紫外部吸光度(二二〇nm)が一・三以下であることを要旨としたものであつて、本願第一発明は、種々の溶出又は抽出物を含む試験液を調製するための条件(温度、時間等)を要旨とするものではないが、その要旨とする特定の範囲の分析値は、中空糸型人工臓器を組み立てた後、該人工臓器全体を洗浄し、充填液を充填し、熱滅菌するという過程を経た後の該充填液の状態を規定したものであることが明らかである。
そこで、前記医療用機器基準と本願第一発明とを対比すると、医療用機器基準は人工臓器の組立て前における、その構成部材中の透析膜、並びに支持体及び回路接続管のそれぞれを試験の対象とするものであるのに対し、本願第一発明は中空糸型人工臓器を組立てた後、該人工臓器全体を洗浄し、充填液を充填し、熱滅菌するという過程を経た該充填液の状態について特定の範囲の分析値を規定している点から明らかなように、人工臓器全体を試験の対象としたものであるから、両者においてそれぞれ定められた過マンガン酸液の消費量と紫外吸収スペクトルの吸光度の数値だけを比較して、前記医療用機器基準の方が本願第一発明より厳しいということはできない。かえつて、前記甲第二ないし第四号証によれば、本願明細書の発明の詳細な説明中には、本願第一発明の人工臓器の構成部材からの物質溶出を前記透析型人工腎臓装置基準(案)における透析膜の溶出物試験並びに支持体及び回路接続管の溶出物試験によつて試験したところ、すべて基準内値であつたが、右基準(案)よりも一層厳格な条件(試験時の水に対する部材の比率を増大させるとともに、溶出温度一二一度C、時間六〇分とする。)で溶出物質の試験を行つたところ、ポリカーボネート、ポリプロピレン及びシリコーンゴム等の容器部材については溶出物の実質的増加は認められなかつたが、セルロース中空糸膜とウレタン樹脂支持体については紫外部及び可視部の吸光度増加が認められたので、さらに高度の安全性を保証できる最終製品の充填液内溶出物量の極めて低い人工臓器を得る目的で本願第一発明の構成を採択したものであること(本願明細書第三頁第一六行ないし第四頁第一九行)が記載され、また、本願第一発明の中空糸型人工臓器の組立て後のものについて前記透析型人工腎臓装置基準(案)における透析膜、並びに支持体及び回路接続管の溶出物試験に準じて試験を行つたところ、すべて右基準に適合し、特に過マンガン酸カリウム消費量は〇・五ml/一〇ml以下(前記基準は一・〇ml/一〇ml以下)、紫外部吸光度(二二〇nm)は〇・一以下(前記基準は〇・二以下)であつたこと(第九頁第一一行ないし第一〇頁第一二行)が記載されていることが認められ、これらの記載事項に照らし、前記医療用機器基準の分析値が本願第一発明の熱滅菌後の分析値より桁違いに厳しいなどとは到底いえないことが明らかである。
しかるに、審決は、本来対比することのできない前記医療用機器基準の分析値と本願第一発明の熱滅菌後の充填液の分析値とを対比して、前記医療用機器基準の方が本願第一発明の熱滅菌後の充填液の検査結果の特定の範囲より桁違いに厳しいので、この基準に適合したものは、本願第一発明の右特定の範囲に十分入るものと認めるとしたのは誤りというべきである。
しかしながら、前記1及び2の認定事実によれば、本願第一発明と引用例記載の発明は、セルロース中空糸膜、ウレタン樹脂支持体及び高分子材料の容器から構成され、該容器が四〇~一三〇度Cの範囲で実質的に耐熱性を有する中空糸型人工臓器であること、該人工臓器は組立て後洗浄され、水または水溶液から成る充填液を充填し、その状態で該人工臓器を熱滅菌する(この熱滅菌の条件に差異があるといえないことは、前記2認定のとおりである。)ものである点においてその構成が全く同一であり、両者の間に構成上の違いは存しないから両者は作用効果の点においても違いはないと認めるべきであり、したがつて、本願第一発明は、右の構成において熱滅菌後の充填液の分析値を単に特定の範囲に規定したにすぎず、また、引用例記載の発明は、この熱滅菌後の充填液の分析値を特定していないが、当然本願第一発明における特定の範囲の分析値のものも含むというべきである。
この点に関し、原告は、本願明細書に示された透析型人工腎臓装置基準(案)を満足している比較例1ないし8記載のものは、すべて本願第一発明の基準値を達成することができない旨主張するが、前掲甲第二ないし第四号証によれば、本願明細書に記載された比較例1ないし6は熱滅菌以外の滅菌方法によるものと認められるから、これらの比較例を本願第一発明と引用例記載の発明との対比判断に当たつての検討の対象とすることは相当でなく、さらに比較例7及び8が引用例記載の発明に相当するといえないことは前記2認定のとおりであるから、本願第一発明とこれらの比較例とを対比して、本願第一発明と引用例記載の発明とはその構成及び作用効果を異にするということはできない。
4 以上のとおりであつて、本願第一発明と引用例記載の発明とは熱滅菌の条件について格別に異なる条件付けは認められないとした審決の認定、判断は正当であり、また、審決認定の前記医療用機器基準の方が本願第一発明の熱滅菌後の充填液の検査結果の特定の範囲より桁違いに厳しいので、この基準に適合したものは、本願第一発明の右特定の範囲に十分入るものと認めるとした点は誤りであるが、本願第一発明の中空糸型人工臓器は引用例に記載されているとした結論には誤りがなく、その誤りは審決の結論に影響を及ぼさないことが明らかであるから、審決には原告の主張する違法はない。
三 よつて、審決の違法を理由にその取消しを求める原告の本訴請求は失当としてこれを棄却することとする。
〔編註〕 本願発明の要旨は左のとおりである。
(1) セルロース中空糸膜、ウレタン樹脂支持体および高分子材料の容器から構成される中空糸型人工臓器において、該中空糸、該支持体および該容器が四〇~一三〇度Cの範囲で実質的に耐熱性を有し、該中空糸型人工臓器内に水または水溶液からなる充填液が充填されていて、かつ熱滅菌された後の該充填液の過マンガン酸カリウム消費量が一〇ml/一〇ml以下、可視部吸光度(四二〇nm)が〇・〇四以下、および紫外部吸光度(二二〇nm)が一・三以下であることを特徴とする熱滅菌された中空糸型人工臓器(以下「本願第一発明」という。)
(2) 熱滅菌による人工臓器の製造方法において、四〇~一三〇度Cの範囲で実質的に耐熱性を有するセルロース中空糸膜、ウレタン樹脂支持体および高分子材料の容器から構成された人工臓器に、水または水溶液からなる充填液を充填して該充填液の過マンガン酸カリウム消費量が〇・二ml/一〇ml以下、可視部吸光度(四二〇nm)が〇・〇〇二以下、および紫外部吸光度(二二〇nm)〇・〇二以下の状態となし、しかる後八〇~一三〇度Cの範囲で熱滅菌処理を行うことを特徴とする熱滅菌された中空糸型人工臓器の製造方法(以下「本願第二発明」という。)